一筆参上 from Tー補綴.jp


本日より令和の時代がスタートしました。
新天皇のお言葉のように、日本国民が幸せで、日本国が一層発展し、そして世界が平和な時代になればと思っております。
それとは全く関係ありませんが・・・

シリーズ「愛犬と生きる」
その1 飼い犬に手を噛まれたら

 犬の寿命は犬種によって違いがあり、大型犬は短く、小型になるほど長いと言われています。ペットとして生活している場合には、平均12年~15年は生きてくれます。長い間愛犬と生活していると楽しいことばかりでなく、様々な困難にも遭遇します。このシリーズ「愛犬と生きる」では、このようなトラブルに対応するための知恵を、私の経験から紹介していきます。記念すべき第1回目は、飼い犬に手を噛まれた時の対処法についてお話しします。
 私はチワワとコーギーの2匹と生活しています。数年前までは、この2匹に加えボス的存在の柴犬(かんた 図1)もおりました。犬の性格は様々ですが、柴犬は主人に忠実で、勇敢さや利口さ、忍耐強さを兼ね備えています。その一方で、頑固で神経質な面も持ち合わせており、飼い主以外にはなつきにくいと言われています。
 かんたと暮らして11年目の冬でした。散歩から帰ってリードを外してやろうと思った時、一瞬何が起こったかわかりませんでしたが、私の右手にかんたの犬歯が刺さっていました。長く鋭い犬の犬歯、まさに「The犬歯」が私の人差し指の付け根に食い込んでいました。不思議と痛みはなく、ただびっくりしました。かんたもびっくりしたと同時に、ヤバいという表情でこちらを見ていました。とりあえず、手に引っかかったままの犬歯をゆっくり抜いて、流水で洗い流し、血が止まったところで記念撮影をしました(図2:10分後)。
 犬に咬まれると、傷口から入った病原体によって感染を引き起こします。通常、病原体は犬の唾液中の常在菌です。犬の口腔内常在菌には、膿瘍を作ったりリンパ節炎や骨髄炎の原因となるパスツレラ菌、咬傷後の蜂窩織炎や免疫力が低下している場合には敗血症の原因ともなるカプノサイトファガ菌、うろこ状皮膚病変を発症する皮膚糸状菌、壊死性筋膜炎や化膿性骨髄炎も生じ死亡例の報告もあるパスツレラ菌などがあります。私の場合は、日曜日に咬まれたので皮膚科を受診したのが翌日でしたが、咬まれてすぐに洗浄し、常備していた抗生剤を飲んだので、1週間程右手が腫れ、診療中は右の手袋だけワンサイズ大きいものを使用する程度で済みました(図3~5:順に3日、5日、12日後)。
 治療には一般に抗生物質が使用され、ペニシリン系抗生剤の経口投与、あるいはアンピシリン‐スルバクタムの静脈内投与がおこなわれるそうです。これらは動物が保有している黄色ブドウ球菌、溶連菌、パスツレラ菌、重症化しやすいカプノシトファガ菌に対して有効です。その他キノロン系薬剤やテトラサイクリン系薬剤が使用されることもあります。狂犬病の疑いがない飼い犬の場合は、できるだけ早く流水でよく洗い、家庭にある消毒薬で消毒し、医師の診察を受けることが奨められます。ただし、野犬やいつもと様子が違う犬に咬まれた場合は、狂犬病の可能性を考慮して直ちに病院へ行って狂犬病対策に精通している医師による診察を受けて下さい。
 次回(令和2年夏ごろ)は、シリーズ「愛犬と生きる」その2 愛犬と散歩中に野生猿の群れに囲まれたら、を予定しています。(永尾)