「正座」


私の実家は450年ほど細々と続く田舎の小さな寺院なのですが、この15年あまりで起こった劇的な変化は、本堂に「椅子を採用」したことです。15年程前には参詣する方に膝が悪く座る事が困難な人が増えてきたため椅子を置くことになりました。さらに今年ついに、来ていただく僧侶の方の中に膝が悪く着座が困難であったり、歩行に杖を使用する方が増えて来たりしたため、僧侶用の椅子を設置することになりました。
以前より寺に来るのは殆どが高齢者であったため、近隣住民の高齢化はそれほど体感してはいなかったのですが、正座する仕事である僧侶に椅子が必要となってきたことに、高齢化を感じざるを得ませんでした。
一方で、実家が寺なら足がしびれないコツを教えて欲しいとか、慣れたらしびれなくなるのか?と聞かれることがありますが、結論からいうと「しびれます」。特に私は日頃の不摂生がたたりウエイトオーバーなため、人一倍早くしびれがやってきて、何もしないと約7分で立ち上がれなくなります。インターネットで「正座」と検索すると「正座 しびれない方法」 「正座 膝が痛い」などと出てききて、皆さん同じ悩みがあるのだと感じました。そのページでは、しびれない方法としては①重心を前方にする、②膝の部分を少し開けておく、③足の指を何度も組み替える、ことを紹介していました。私のしびれ対策法は、足の感覚がなくなるまで座らない事です。つまり、足の感覚がなくなる手前の「足がしびれているという感覚」を持続しておく様に常に動いていることです。この感覚がなくなってしまうと足首を曲げることさえできなくなり、無理に立ち上がって足首を骨折した人さえいます。そして、立ち上がる少し前に正座状態から足首を曲げ、足指の付け根あたりと膝で体重を支え、足首を伸ばすようにします。このようにすると、1分程度で足のしびれは解消されます。ただし、所作が不自然で、急に座高が高くなるため、周りから注目されてしまいます。
正座のように、日常生活で感じないような苦痛を感じる場所・環境へは自然と足が遠のいてしまいますが、ちょっとしたことでそのハードルが低くなることがあります。「歯医者」と検索すると「歯医者 怖い」と出てしまいますが、歯医者である私も気づかないうちに患者さんに高いハードルを作っているかもしれません。   (水頭)