一筆参上 from T-補綴. jp


「阿波の土柱」

 徳島県阿波市阿波町にある土柱のうち、波涛嶽(はどうだけ)は国の天然記念物に指定されています。土柱とは堆積した砂礫層が長年の風雨で浸食されてできた、柱やタケノコが林立したような珍しい地形のことです。アメリカのロッキー山脈にあるブライスキャニオン、イタリアのチロル地方の土柱と合わせて「世界三大土柱」として阿波の土柱があげられるそうです。
 阿波の土柱には波涛嶽を望む展望台が上下に2か所あり、下の展望台からはその姿を下から見上げ、上の展望台からはほぼ正面から全体を見渡すことができます。夜間はライトアップされるようでライトが設置されていました。駐車場から展望台までの道は舗装されたなだらかできれいな道でそれほど遠くありません。ただし、道の上に木が大きく枝を広げているので、時期によっては“何か”が落ちてくるかもしれません。
写真1:展望台への入り口に立派な看板があります。
写真2:上の展望台から臨む波涛嶽全景。
 遊歩道で波涛嶽の上に出ることができるので、少しの体力と気力があるなら展望台だけではなく頂上に行くと良いと思います。展望台から頂上に向かうなら、不規則な幅と高さの階段を上ることになりますが、私は展望台より先に頂上に行ったので、駐車場からなかなか急な坂道を結構な距離歩いて登りました。普段運動不足なせいで、途中で何回も、何十回も引き返したくなりましたが、同行者が足取り軽やかに登っていくので泣きながらついて行きました。滝のような汗を流しながらたどり着いた山頂からの眺めはすごいの一言でした。林立する土の柱を上からのぞき込むことができ、普通では見られない絶景に、途中で諦めて帰らなくて本当に良かったと心から思いました。上には柵などがいっさいないため、のぞき込むと背筋がゾクゾクしてスリル満点です。転落事故は起こらないのだろうかと心配になってしまいましたが、私が調べた範囲では事故のニュースは見つけられませんでした。どう見ても危なそうなので、誰も無茶をせずかえって安全ということでしょうか。
写真3:上から見た土柱。びびりすぎてあまり近づくことができません。
 土柱は長い年月をかけて浸食で形成されたものですが、今も浸食は確実に続いているようで、下のほうはかなり崩れてしまっているように見えました。思い出補正を考慮しても、私が子供の頃に訪れた時よりずいぶん規模が小さくなっているように思います。それでもとても迫力があり、その不思議な景観は一見の価値があります。徳島は観光のアピールが苦手ですが、手軽に行くことができる素晴らしい観光地がちゃんとあると実感できた時間でした。連休だったのに、びっくりするくらい人がいないので、ゆっくり見られるのもおすすめポイントです。浸食で崩れてしまう前に土柱を訪れて、自然の作り出した造形をお楽しみください。
写真4:土柱とは関係ありませんが、阿波市にあるBON COFFRETさんの和三盆ソフトクリームです。写真が下手で美味しそうに写っていませんが、とても美味しかったです。(岩本)